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私ことギンナンもそこが大いなる疑問だったわけですが、鬼怒川流域の栃木県宇都宮市(旧上河内村)の郷土料理「ちたけの油味噌」を調べてようやく分かったのです。まず「ちたけの油味噌」のレシピですが、半分に切ったちたけを塩水を入れたお湯に通してから水洗いします。なすを適当な大きさに切り、油をしいた鍋の中でなすとちたけを炒めて、水少々と味噌を加えてさらに炒めたらできあがりです。
この下ごしらえの手間なのですが、一度塩水のお湯に通してから水洗いするのは、ちたけにくっついていた虫が出てくるためで、なすを加えるのは毒消しになるからと言われていました。ちたけに毒はないはずですが、昔の人の用心深さのためかそういう迷信があったのかもしれません。
では「キノコとなす」を一緒に食べると毒消しになるのか?という疑問が沸くわけですが、長野県庁のホームページ「毒キノコにご注意を!」によると「柄が縦に裂けるキノコは食べられる」、「なすと一緒に煮ると毒消しになる」といった迷信は信じないようにと書いてありました。海なし県の長野にも似たような話しがあるようで、つまり山の民の暮らしには、いろいろと気をつけなければいけないことが多くあったわけです。
栃木県那須地方を中心としたレシピは「ちたけそば」または「ちたけとなすの汁」でしたが、他の地方では「ちたけうどん」というものがあり、これはちたけを豚肉や鶏肉と炒めて出汁を加え、味噌や醤油で味をつけた汁に、冷たいうどんをつけて食べるそうです。そこでまとめますと、栃木県の郷土料理でちたけを使ったレシピの基本は――
「ちたけを使ったレシピはなすを入れる!」
「うどんやそばはちたけの汁で食べる!」
――ということなのです。
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