◇那須高原の郷土料理◇ 那須高原のスローフードな郷土料理レシピ集!

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郷土料理のいろいろ知恵袋

夏に食べるキノコ「ちたけ」とは?
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栃木県内の国道を車で走っていますと「名物ちたけ」と書いた看板をよく見かけるわけです。じゃあ、収穫の秋にでも食べにこようと思ったあなた――秋深くにちたけは食べられませんよ。「ちちたけ」とも言いますが漢字で書くと「乳茸」になります。ベニタケ科の一種で松の混じった広葉樹林やブナ科の林に群生しています。夏から秋にかけて収穫されますが、お盆の時期が食べごろです。

全国的に群生しているのですが、なぜか栃木県では名物になっています。郷土資料を読んでみますと、夏の時期、農家の人が山や畑に出かけたときに採って食べていました。名前の由来ともなっているのですが、表面に傷をつけると乳が流れるように白い液体が流れるのでちちたけと呼ばれるようになったとのこと。

各地方によっては高価なキノコらしく、高地林より低地林で採れたもののほうが高級品なんだそうです。マツタケよりも珍重されている地方もあるとか。栃木県ではそれほど高価というわけでもなく、ちょっと山に入って採ってくるくる人もいれば、道の駅や野菜直売所なんかで売っていたりします。

ちたけの大きな特徴は野趣溢れる香りでして、食感は普通のキノコと変わらないので、その香りを味わう食材なのです。つまり、“下野の夏”を感じさせる風味なわけで、これを食べないと後にも先にも季節は進まないというキノコなのです。

そこで、郷土料理レシピですが、農林水産省が実施した栃木県における「農山漁村の郷土料理百選」では「しもつかれ」と「ちたけそば」が選ばれました。一般的にちたけはうどんやそばの汁にするのが定番で、なにがなんでも「なす」を入れるのです。えっ、なんで?

私ことギンナンもそこが大いなる疑問だったわけですが、鬼怒川流域の栃木県宇都宮市(旧上河内村)の郷土料理「ちたけの油味噌」を調べてようやく分かったのです。まず「ちたけの油味噌」のレシピですが、半分に切ったちたけを塩水を入れたお湯に通してから水洗いします。なすを適当な大きさに切り、油をしいた鍋の中でなすとちたけを炒めて、水少々と味噌を加えてさらに炒めたらできあがりです。

この下ごしらえの手間なのですが、一度塩水のお湯に通してから水洗いするのは、ちたけにくっついていた虫が出てくるためで、なすを加えるのは毒消しになるからと言われていました。ちたけに毒はないはずですが、昔の人の用心深さのためかそういう迷信があったのかもしれません。

では「キノコとなす」を一緒に食べると毒消しになるのか?という疑問が沸くわけですが、長野県庁のホームページ「毒キノコにご注意を!」によると「柄が縦に裂けるキノコは食べられる」、「なすと一緒に煮ると毒消しになる」といった迷信は信じないようにと書いてありました。海なし県の長野にも似たような話しがあるようで、つまり山の民の暮らしには、いろいろと気をつけなければいけないことが多くあったわけです。

栃木県那須地方を中心としたレシピは「ちたけそば」または「ちたけとなすの汁」でしたが、他の地方では「ちたけうどん」というものがあり、これはちたけを豚肉や鶏肉と炒めて出汁を加え、味噌や醤油で味をつけた汁に、冷たいうどんをつけて食べるそうです。そこでまとめますと、栃木県の郷土料理でちたけを使ったレシピの基本は――

「ちたけを使ったレシピはなすを入れる!」

「うどんやそばはちたけの汁で食べる!」


――ということなのです。
傷をつけると白い液がポタポタ、だから乳茸 栃木県では「名物ちたけ」の看板がたくさん立ってます
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