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那須高原のうどんで押さえておきたいポイントは「島田うどん」のこと。イメージとしては秋田県の「稲庭うどん」に近いですが、これは栃木県北部の特産品です。細いうどんを干している様子が昔の花嫁の髪形「高島田」の形に似ていることからそう呼ばれています。普通のうどんよりも手間がかかるのでちっょとした高級うどんといった感じで、うちのお中元も毎年島田うどんが贈られたりするわけです。那珂川町馬頭では、物々交換だった時代に小麦1斗で島田うどん12束と交換したそうです。
もう一つ、那須高原のうどんの特徴で「巻きうどん」というものがあります。これは小麦粉の生地が巻いたままになっていて、茹でるときにお好みの太さに切ります。ぶっとく膨らむので、味噌煮込みや鍋なんかに入れます。山梨県の「ほうとう」に似ていますが、巻きうどんは汁をよく吸い込み、歯ごたえがモチモチしていてとても美味しいです。これで猪鍋や鴨鍋なんかをやったら大変なことになりそう。
で、讃岐うどんなんかはコシにこだわりますよね。那須高原のほうではあまりコシが強いと馬鹿にする傾向があります。力加減を知らないと――。おそらく「すいとん」の延長線上に「うどん」があるわけで、煮込んで味が染み込まないとうどんではないわけです。
私ことギンナンがごひいきにしているうどん屋では、野菜と鶏の醤油汁にうどんを煮込んで食べさせてくれるんですが、これがホント絶品なんです。マチコさんはレシピを見抜いて「ふるっぱ」だと言いました。つまり卵を産まなくなった廃鶏(はいけい)のことで、軍鶏並みの肉質と旨味が詰まっているんです。
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