◇那須高原の郷土料理◇ 那須高原のスローフードな郷土料理レシピ集!

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郷土料理のいろいろ知恵袋

郷土料理を美味しくさせる玉砂糖の力

那須高原の郷土料理は、出汁なんかをあまり使わずにシンプルな味つけが基本なわけですが、それでも“ココロとカラダ”が素直に美味しいと感じるのは、那須岳の麓で育った野菜が自然の旨味をたっぷりと溜め込んでいるのと、なにより地場産の味噌や醤油といった調味料が、那須高原の食材で作るレシピとうまく溶け合っているからです。

その調味料ですが、砂糖には白や黒と種類があって、そのへんのことは「お砂糖のQ&A」や「日本人と砂糖の交流史」が詳しいのだけれども、今はすっかりと影をひそめた「玉砂糖」というものがあります。見た目はレンガ色で小さい玉がブツブツしている砂糖ではありますが、コレがなんと不思議なことに、なんでも美味しくさせるホント凄い砂糖なんです。

まずは砂糖の精製過程から説明しなくてはならないのだけど、サトウキビから絞った原料糖は不純物なんかが混ざっているので真っ黒です。沖縄の特産品になっている固形化された黒砂糖のアレだけど、その原料糖を洗浄や脱色して「白糖」や「グラニュー糖」といった真っ白な砂糖ができるわけです。

不純物を取り除くといっても、同時にミネラル分(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム)やコクと風味を失うわけで、黒砂糖が健康によいとされるのは、それらが除かれずに含まれているからなのです。これは玄米と白米の関係に似ているのではありますが、精製糖の製造工程の図解で理解してください。
ズバリ「玉砂糖とは?」と問われたら、「黒砂糖と白砂糖の中間にある砂糖」と答えましょう。黒砂糖ほどクセはなく、甘いだけの白砂糖とも違います。宮崎商店の「玉砂糖の名称の由来」を読んでみると、大正時代にインドネシア南方から輸入されていた砂糖は現地の素朴な製法で作られていたので蜜玉(砂糖の玉)が入っていたので玉砂糖と呼ばれるようになったとのこと。

で、その風味の愛好者が増えたので、日本国内で粗糖に糖蜜を加えて釜で煮詰めて玉砂糖を作りました。これを業界では人造玉砂糖と言うようにしたそうです。昭和35年に業界の決まりで玉砂糖を赤糖、台湾の砂糖は紅糖と呼ぶようになりました。

砂糖業界というのは明治大正以来の老舗が多くて、遥か南方に砂糖を求めた歴史は日本の古き良き時代のスピリッツを感じさせるわけだけど、玉砂糖という呼び方はまさに那須野ヶ原開拓の時代を彷彿させているわけです。昭和3年の「神戸又新日報」に「精糖と耕地白」という記事には玉砂糖の話しがあったり、宮沢賢治の「水仙月の四日」という小説には――

(そら、新聞紙しんぶんがみとがったかたちに巻いて、ふうふうとくと、炭からまるで青火が燃える。ぼくはカリメラなべに赤砂糖を一つまみ入れて、それからザラメを一つまみ入れる。水をたして、あとはくつくつくつとるんだ。)ほんとうにもう一生けん

命、こどもはカリメラのことを考えながらうちの方へ急いでいました。


――という一文があったりするわけです。


玉砂糖は赤糖(赤砂糖)の古い呼び名であることが分かりました。今は三温糖(さんおんとう)という名で売られているのかもしれません。栃木県や福島県では今でもお菓子や漬け物に玉砂糖を使う愛好者が多くて、消費量もけっこう高いはず。那須高原のスーパーに行けば普通に売っていますよ。他県から観光に来たら温泉まんじゅうを買うよりも玉砂糖をお土産にすることをおすすめします。野菜の煮つけに一さじふりかけるだけで、コクも旨味も数倍美味しくなるので絶対に喜ばれると思います。そこで那須高原の郷土料理を作る場合は――

「玉砂糖or赤砂糖(赤糖)or三温糖」

――を使ってくださいというわけであります。
この玉状になった砂糖が「玉砂糖」の由来なんです 野菜の煮つけには玉砂糖と醤油で味つけ
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